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おもな該当疾患名

多発性硬化症

多発性硬化症(MS)は若年成人に発病することが多く、平均発病年齢は30歳代です。わが国では比較的まれな疾患ですが、近年その患者数は顕著に増加しています。最近の疫学調査や全国臨床疫学調査などによれば、わが国全体で約12,000人、人口10万人あたり8~9人程度と推定されています。

現在は、実験動物を使って病気の原因や治療法を研究開発する努力が続けられていますが、根本的な原因を探求し、治療法を確立するには、病気の患者の死後脳を試料として研究することが不可欠です。

現在、どのような研究が期待されているのか?

日本では多発性硬化症(MS)の患者様を対象としたブレインバンクのドナー登録制度はまだ始まったばかりですので、実際に国内でブレインバンクの死後脳を用いたMS研究はまだ行われていません。しかし海外では、特にオーストラリア、イギリス、オランダでは大きなブレインバンク制度があります。

患者様の死後脳を用いて、病理学的、生化学的をはじめとした様々な手法で研究が行われています。これらの研究は、動物モデルでは解明できないような重要な病態を把握できる可能性が高いのです。また、研究結果を踏まえて、様々な治療薬が開発されることが期待されます。

日本のブレインバンク

欧米に比べて日本はMS患者数が少なく、MS自体は死に直結する病気ではないため、日本で死後脳を用いる研究を行うことは非常に貴重であると考えられます。また、欧米とは違った日本人特有のMSの特徴がある可能性があり、国内でブレインバンクが設立され研究が行われることは非常に重要です。日本人のMSの病態をより詳しく知ることができ、さらには日本人に合った治療薬が開発される可能性もあります。ブレインバンク制度は、原因が十分にわかっていないMSの病態を把握し、治療に結びつく研究に大きな役割を果たします。

脳や神経・筋肉の病気の原因究明と治療法の開発を目指す研究に提供することを前提として、人の死後脳組織を系統的に保存するための機関であるブレインバンク(Brain Bank : 脳バンク)は、脳の病気を研究するために欠かすことのできない機構です。

2006年に「パーキンソン病および関連神経変性疾患ブレインバンク」が設立され、これまでその普及活動を行ってきました。

2009年からはさらに献脳ドナー登録者対象を多発性硬化症などの炎症性脱髄性疾患を含めた難病患者に拡大し、献脳生前同意登録を開始することになりました。

脳はどんな研究に使われるのか?

多発性硬化症の病気の原因や病態を解明するための研究に使われます。脳内の障害されている部位や障害の程度を調べたり、障害されている脳の細胞の性質や特徴などを、組織の染色や免疫学的な方法で詳しく検討されます。

このような研究を積み重ねることによって、多発性硬化症(MS)の治療法の開発へと発展していく可能性があります。

近い将来、ブレインバンク機構をさらに拡充し、我が国における脳や神経・筋肉の病気の原因究明のために重要な機関となると考えられます。

ブレインバンクは、患者とご遺族双方が死後脳を用いた研究の重要性に同意していただいたうえで成り立ちます。患者には十分説明をしたうえで献脳生前同意登録をしていただき、患者の亡くなられた後にご遺族の同意を得て病理解剖を行い、その脳をブレインバンクに「提供(寄託)」していただきます。

ブレインバンク組織構成と活動内容、同意登録から研究利用までの流れはこのホームページでご案内しております。