ブレインバンクとは
ブレインバンク設立の目的
脳や神経・筋肉の病気は、医学の進歩により病気の症状を改善・治療する各種の薬が開発されてきましたが、いまだに根本的な治療法は確立していません。
根本的な治療法を確立するには、病気の患者の死後脳を試料として研究し、脳の中で起こっている異常と病気の成り立ちを明らかにすることが重要です。
ブレインバンク(Brain Bank:脳バンク)は、このような神経難病の原因究明と治療法開発を目指す研究に提供することを前提として、
人の死後脳組織を系統的に保存するためのシステムです。脳の病気を研究するためには欠かすことのできない機構ですが、残念ながら日本ではまだ十分に知られていません。
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)では、2006年にパーキンソン病中心のブレインバンクを発足させましたが、その後、皆様のご支援とご協力の下に順調に発展を続け、
2017年からは“国立精神・神経医療研究センター(NCNP)ブレインバンク”として、神経疾患だけでなく精神疾患を対象に加えて活動を行っています。
当センターのブレインバンクでは、発足当初から生前登録システムを導入しております。これはお亡くなりになるご本人の意思を尊重するシステムで、欧米諸国ではブレインバンクの重要な 運用基盤となっておりますが、日本においてはまだまだ浸透しておりません。私たちは、脳や神経・筋肉の病気の研究を進めるためには、患者様とご遺族の双方に死後脳を用いた研究の 重要性とブレインバンクの活動に対する十分なご理解と同意を得たうえで、患者様が亡くなられた後にその脳をブレインバンクに“提供(寄託)”していただくことが重要であると考えております。
ブレインバンクの活動
ブレインバンクでは,死体解剖保存法に従いご遺族の同意を得て,亡くなられた患者様の病理解剖を行います。生前登録をされた方が亡くなられた場合は、
ブレインバンク事務局にご連絡をいただくことにより、速やかに病理解剖の準備を開始することができます。病理解剖で取り出された脳組織等の検体は、適切な処置を施されて病理診断に用いられた後、系統的に保管されます。
研究者から申請があると,研究計画を厳正に審査した上で脳を提供します。研究の成果は、患者様に個人的な利益はもたらしませんが、将来の医療の発達や人々の健康に役立てられます。

NCNPブレインバンクメンバー
研究責任者:高尾 昌樹 (病院臨床検査部 部長)
医師:佐野 輝典
医師:水谷 真志
主任技師:若林 僚
技師:山口 修那
技師:臼倉 絵美
心理療法士、リサーチコーディネーター、コーディネーター、事務担当 etc.